e-sportsへの投資事情②

以前、当サイトで海外セレブリティのe-sports投資事情という記事を掲載しました。そこで取り上げていたe-sportsチーム「100THIEVES(グラミー賞受賞歴ラッパーのドレイクが出資)」が、今回新たに3500万ドル(38億円)のシリーズB資金調達をアナウンスしましたので、今回はそれを紹介します。
すでに同チームは2500万ドル(27億円)の出資を集めており、今回は既存の出資元に加えてLVMHオーナーのベルナール・アルーノが設立した投資会社も参加したとの事です。これにより同チームの資金調達は6000万ドル(65億円)に達しています。

100THIEVESのホームページでも3500万ドルの出資を受けてロサンゼルスの本社を整備するというのが、Topページでアナウンスされています。
「e-sportsチームに65億円?」というのが、皆さんの最初の感想ではないでしょうか。100THIEVESは単なるe-sportsチームではなく、ビジネスとしてはe-sportsを発信源としたアパレルブランド展開(グッズデザインと製造を自社で行っている)などによる「ライフスタイルブランドの提案」を掲げており、これまで4回同社サイトで販売した製品はすべて20分以内に売り切れているそうです。

昔はバスケやヒップホップが起爆剤となりストリートファッションが流行しましたが、今はそれがe-sportsになっているという事でしょうか。100THIEVESのSHOPページに行くとお洒落でクールなファッションアイテムが紹介されています。日本的な感覚で変なロゴが入ったり、「ゲーム」の意匠を取り入れたりということはなく、非常に洗練されたデザインです。
100THIEVESは「League of Legends」・「Fortnite」・「Call of Duty」・「Apex Legends」に参戦していて、チーム自体がこのブランドの広告塔となっており、e-sportsチーム・アパレルブランド双方で相乗効果を起こしています。
6000万ドルに及ぶ投資元も、100THIEVESのアパレルを中心としたライフスタイル展開というビジネスに興味を持ち、早い段階で集中的な投資を行っているのでしょう。
何しろ100THIEVESの設立は、まだ1昨年の2017年の11月です。こういうスピーディーな展開はアメリカならではのものでしょう。

e-sports先進国である米国ならではの、e-sports単体ではなくそれを起点としたビジネスの拡がりを感じさせる、今回の100THIEVESの資金調達。
日本のe-sports市場がこのようなダイナミズムを生む日は来るのでしょうか。

【参照サイト】
https://forbesjapan.com/articles/detail/28504
https://www.100thieves.com/

文責:土田耕平