先日、Newzooの発表していた2021年のe-sportsビジネス予測の記事の紹介をしましたが、この中の予測の気になる項目を今日は取り上げます。
Prediction #3: Esports will not be a part of the Olympics as we know it, but the Olympics will get involved with esports.
(予測3:e-sportsはオリンピック競技にはならないが、e-sportsへの関わりは持つ)
2018年アジア競技大会でのデモンストレーション競技としての採用をうけて、2020年東京五輪でのデモンストレーション競技採用、2022年アジア競技大会での正式採用、そして2024年パリオリンピック大会への正式採用という気運が関係者の間で出てきていましたが、昨年12月の第7回オリンピックサミットでe-sportsのオリンピック競技採用は時期尚早であると発表されました。
ただ、あくまで「時期尚早」であり、オリンピックとしては今後もe-sportsコミュニティへの関わりは継続していく意向は表明しています。
しかし、アクションゲームやシューティングゲームなどのジャンルはオリンピック競技の価値観とそぐわない、また商業的に推進(commercially driven)されているe-sportsは価値観に基づいた(value-based)他スポーツとは相反するとも言っています。
今更、IOCがcommercially drivenだから云々と言っても、あまり説得力がないとも思えますが。
IOCとしては今後、e-sports業界のステークホルダー(利害関係者)を、コラボレーションの方向性を探るためにかれらのリエゾングループに招くつもりのようです。
現時点ではパリ五輪へのe-sports競技採用は難しい状況です。
「commercially driven」とありますが、”e-sports”という競技があるわけではなく、「LOL」や「DOTA2」があり、それらの総称がe-sportsなので、e-sportsがオリンピック競技に採用と言っても個々のゲームが採用されるのであり、それらの個々のゲームには開発元や配信元などの権利者がいるというのが、陸上や水泳、柔道など競技そのものはパブリックなものである、既存のスポーツ競技との大きな違いです。
また、人気のあるe-sportsタイトルのかなりのものが、いわゆるアクションやシューティング(しかもリアルな銃撃戦)だったりするのを考えると、盛り上がっているからオリンピックに採用されるという単純なものではないとも思います。
そう考えるとオリンピックとは別イベントの「e-sportsオリンピック」的な大会をIOCがオーガナイズして、e-sports好きな若者へのアプローチを図るというのも今後の展開としてはありうるのではないでしょうか。
オリンピックの開催国になるよりは開催国の負担もはるかに少ないですし。
現在、「World Cyber Games」が「e-sportsオリンピック」をイメージした大会になっているので、例えばこういう大会をIOCが新たに催す可能性もあるかもしれません。
日本でも国体へのe-sports競技採用など、色々な動きが出てきています。
当サイトでは海外動向などとあわせて多角的な検証を今後も行っていきます。
文責:土田耕平