この1~2年、誰もが知っているような大手芸能プロダクションによるe-sportsへの参入が相次いでいます。直近で目立ったところでは、以下のようなニュースがありました。
・吉本興業がesports事業に本格参入
https://www.famitsu.com/news/201803/07153179.html
・アミューズ、eスポーツ事業に参入 世界的人気チームと提携しプロ選手マネジメントを開始
https://www.oricon.co.jp/news/2124718/full/
アミューズが提携した「Team Liquid(チーム リキッド)」は、以前当サイトの記事「e-sportsへの投資事情」でも書きましたが、バスケ界のレジェンド、マイケル・ジョーダンがチームの親会社に投資をしています。
その他にもエイベックス、浅井企画、松竹芸能といった錚々たる大手のプロダクションが、参加表明や業務提携を行っています。
昨年末に発表されたグラドル倉持由香さんとプロゲーマーのふ~ど選手の結婚も大きな話題となりました。また彼女は女性だけのゲーミングチーム「G-STAR Gaming」もプロデュースしています。
こういった芸能界によるe-sportsへの参入が、今後日本のe-sports市場にどの様な作用を起こすのでしょうか。
先ず全体的な作用として、e-sportsの認知が上がるという部分で大きくプラスになる事が考えられます。
例えば著名な芸能人がe-sportsの大会のMCを務める、ご自身が選手としてチャレンジするといった事に加え、大手事務所ならではのTVや雑誌などのメディアリレーションの強みを活かし、それらの媒体で露出する事で、今までe-sportsに興味がなかった人へも関心を与える機会が増えるかと思います。
また、吉本興業は配信事業とイベント事業にも取り組んでいくと表明しています。
大手事務所がプロダクションの枠を超えて、呉越同舟でe-sports自体を支える機能を担うとなれば、e-sports人口の裾野を広げるチャンスがここにも生まれると思われます。
その一方で、プロチームを育てるという事に関しては、芸能事務所の強みが直接活かせるとは考えにくいですが、元々プロダクションには「育成」という機能な側面がありますので、そういった面を活かしたノウハウを今後構築していくのか気になるところです。
また、日本国外のe-sportsに於いては既存メディアに頼らずとも、主にSNSを介して拡散してきた歴史があります。SNSは個人でアカウントを保有して、集客できる側面を持っていますので、それをプロダクションがどのようにバックアップしていくのでしょうか。
各社のe-sportsへの参加動機はそれぞれかと思いますが、芸能界で培ってきた強みをどの様にe-sportsに活かせるかが、今後のお互いの相乗効果と発展に繋がるのではと思います。
それが実を結ぶ事で、ひょっとするとガラパコスと揶揄されがちな日本のe-sportsに新しい機軸が出来るのかも知れません。
文責:神名 秀紀