去る11月23日,コーエーテクモゲームス主催の「DEAD OR ALIVE FESTIVAL 2019」が開催されました。
当日は生憎の空模様でしたが、熱心な「DEAD OR ALIVE」(以下、DOA)のプレイヤーが開催会場のニューピアホール竹芝に大勢集結して、同タイトルでは初めての大型世界大会「DEAD OR ALIVE 6 World Championship」のファイナルやフォトコンテスト、「DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation」の公式生放送など、盛りだくさんのイベントを楽しみました。
イベント最中のお忙しいところDOA6プロデューサーの新堀洋平氏にインタビューを受けていただいたので、インタビューとあわせてDOAイベントの模様をお届けします。
e-sportsjapan.info編集部(以下、編)
お忙しいところありがとうございます。本日は宜しくお願い致します。
新堀洋平プロデューサー(以下、新堀氏)
はい。宜しくお願い致します。
編:今日ファイナルがおこなわれている「DEAD OR ALIVE 6 World Championship」ですが文字通り世界中で決勝トーナメントの出場枠を競った精鋭達が集っています。 各国、各地域でのプレイヤーの違いなど感じられることがありましたか。オープニングマッチを見る限りでは北米勢が強いなという印象ですが。※インタビューは午前中のオープニングマッチ終了後に行いました。
新堀氏:私自身がそこまで強いわけではないので(笑)細かい分析は難しいのですが、北米のプレイヤーは勢いがすごいのと、多分普通に見ていてはわからない細かいテクニックがすごいですね。あと負けそうになってもギリギリの所で勝つ粘り腰がすごいです。
編:今日の試合もゲージあとわずかの所から逆転勝ちしていました。
新堀氏:ハートが強い。あとやっぱり対戦の機会が多いんでしょうね。
北米は一番ユーザーの数が多い地域なので、ずっとDOAをやっているプレイヤーから最近始めたプレイヤーまで層が厚いんですよ。そこが特徴の一つと言えると思います。
編:なるほど、他の欧州や日本を始めとするアジア地域はいかがですか。
新堀氏:アジアは日本と台湾が主に強くて韓国やシンガポールも強豪がいますね。アジア勢と言っても、日本から離れるほど段々欧米の戦い方になっていくなというのを感じました。
単純に強いとか弱いとかではなくキャラクターの傾向とかもそうですね。
日本人がやはり一番堅実な戦い方をしています。もちろんイメージなので野生的にガムシャラな戦い方をしているプレイヤーもいますけど。全体的な傾向としてきちんとデータを頭に入れて、その上で「やるんだ!」という勢いのミックスが日本人プレイヤーの特徴なのかなと思います。
編:それこそ柔道のように日本発祥だけど、世界に拡がるとともに、どんどん色々な戦い方が出てくるみたいな感じでしょうか
新堀氏:そうですね。DOAも1とか2はやっぱり日本が主流だったと思うんですが、3から以降は北米とか欧州でバカ売れしていたんです。
その時xboxというハードの特徴もあったのですが遊んでいる人数の差が生まれて、そのあたりから何となくバランスが変わってきたかなという印象があります。世界大会もxboxの頃から始まりだしたので、その頃から本格的に米国がどんどん強くなってきたという歴史がありますね
編:そういった歴史的な背景も今大会の北米勢の強さに繋がっているという所もあるのでしょうか 。
新堀氏:北米は本当に強いと思います。一方、欧州のプレイヤーは本当に面白い。人間も面白いですが見たことの無い動きをするんです。翻弄してくる人も多いですし、あ、こういうプレイヤーもいるんだというのが今大会面白かったポイントの一つですね。
編:ジャーマン酔拳とかもいますしね(笑)
新堀氏:本当にすごい動きをするんですよ。それを駆け引きに使ったり、逆に利用されてしまったりするところもこのゲームの面白い所なので、そこを見せてくれてこちらも作ったかいがあるなと思って試合を見ていました。
編:世界的にe-sportsの市場は伸びており、日本でも昨今色々と取り上げられています。御社としてそのあたりの盛り上がりを肌で感じられる事はありますか。
新堀氏:2017年くらいまではほぼ日本では浸透していない言葉だったと思います。e-sportsって。それが2018年くらいからですかね、色々な取り組みが始まりだして、そのあたりから急に忙しくなったというか、プレッシャーがすごくなって(笑)。
会社として格闘ゲームを作っていてe-sportsのeの字も無いわけがないということで、かなり肩の荷が重くなっているところもあるのですが、やっぱり実際、e-sportsという分野は世界的に拡がっていて、これから可能性のある分野ではあると思います。
ただ、まだ日本では大きくなりきっていないという感じなので、投資に近い状態ではあります。だからこそ各社さん色々と試してやっていますね。
やはり日本にあうスタイルを見つけてやっていくのが正解だと思っていますので、私達も今はそれを探っている段階です。特にストリートファイターや鉄拳など老舗タイトルがe-sports云々と言われるはるか以前から、格闘ゲームシーンを引っ張っていますよね。今、我々はそれを追う形になっていますが、ただ追いかけても面白くないなぁというのが今の心境です。
今年大会をやってみて、やっぱりもっと色々とやってみたいなという気持ちになっています。ただ大会をやるだけではなく、DOAのファンって本当にいっぱいいますし、色々なタイプの人がいるので、みんなを楽しませないといけませんよね。もちろん大会で競い合うのも中心なんですけど、もっとビジネスって考えると大会やらない人はe-sportsに無関係ですかっていう話になるじゃないですか
編:大会に出てプレイする人だけを対象にしていたら裾野が拡がらないですよね。
新堀氏:だから、もっと面白いことやりたいんですよ。そういった意味では今日やっているフォトコンテスト。ある意味あれもe-sportsなんですよ。1位を競い合う。コンペティションじゃないですか。この後もデザイナーコンテストとかあるんですが、そこも楽しんでもらえるようでしたらDOAって色んな競い合いが出来るゲームだよということをアピール出来るはずなので、今後もっともっと色々やっていきたいなと思っています。
編:この大会はファイナルだけで賞金総額3万ドルと日本の大会では高額な賞金額となっています。ファイナルには日本人選手も残っていますが、日本のe-sportsシーンの話をすると、今だに問題として尾を引いている、景表法などの法律について御社ではどのようにお考えでしょうか。
新堀氏:もちろん法律に問題のないやり方を会社全体として取り組んでいますし、日本eスポーツ連合(JeSU)さんにも認定をいただくなど、色々とやっていますので、みなさん安心して賞金を手に入れて頂ければと思います。
編:今日のイベントのお客様の盛り上がりを見ていかがですか。
新堀氏:ファンの熱は本当にすごいですよね。受け止めきれるかなと言うくらいの熱量なので頑張るしか無いなと(笑)。
この後もフェスが終わったからと言ってDOAが終わるわけでは無いので、DOAファンの皆様たちを楽しませるっていうのを、我々の新しい目標にしていくためのイベントであるので沢山の方に来ていただいて感謝しか無いです。
編:最後に来年以降のDOAの展開等についてお聞かせ下さい。
新堀氏:それはねなかなか言えない所が多いんですけど(笑)、e-sportsとして大会をこの規模でやるのは今年が初めてだし、賞金をこれだけかけた、特に日本ではこれほど賞金を出したことはないんですよね。なのでどれくらいが妥当か、時間をどれくらいかければいいのかといった所も手探りだし、正直トラブルも多かったです。
今年はそういうノウハウも溜められましたので、来年以降もっと違う、いや違うというと語弊があるかもしれませんが、もっと新しい見せ方、新しい参加の仕方など今色々と考えている最中です。
まだ何も決まってはいませんが。何しろ可能性がいっぱいありすぎるんですよね。どの道に行こうかなと。色んなルートがありますので、皆さん参加しやすい、そして参加して面白いと思えるような取り組みをしたいと思っています。
一方、ゲームはゲームで、そういう参加する方が楽しめる部分と、特に何も競い合うつもりが無い人たちもいっぱいいますので、そういうお客様も楽しめるように長く運営出来ればいいなと私は思っています。
編:来年も期待しています。ありがとうございました。
イベントの合間のお忙しい所、インタビューに答えていただいた新堀プロデューサー。DOAとして、この規模の大会を開催するのは初めてということで、色々と大変な事も多かったと思われますが、来年以降やりたい事、可能性がたくさんある、競技者だけでなくDOAの全てのユーザーが参加して楽しめるようにしたいと心強いコメントをしてくれました。
日本だからこそ出来るe-sportsシーン、来年はそんなシーンをDOAが見せてくれることを期待したいです。
文責:土田耕平