中国海南省のe-sportsの取り組み

米国と並ぶe-sports先進国である中国。その中国の海南省で省独自のe-sports産業発展支援策が先日発表されましたので紹介します。全部で6条あり「海六条」と名付けられています。
10億元(約160億円)規模のe-sportsファンドを設立して、大会開催やチーム結成への補助を行ったり、住宅取得など優秀なe-sportsプレイヤーへの各種支援、大会開催に対して審査の簡素化など市として便宜をはかるなどがうたわれています。
同市は「世界のe-sportsの都」を目指し、海南省がe-sportsの国際的な玄関口になれば「旅行+スポーツ」といった新しい消費モデルが生まれる事を期待しているとの事です。

海南省は中国最南端の省で海南島は「東洋のハワイ」と呼ばれて、美しいビーチや自然を求めて大勢の観光客が訪れています。ちなみに日本人には昨年ビザ無しでの滞在期間が従来の15日から30日に延長されました。ビザ免除対象国も26カ国から59カ国に増えています。
今回の「海六条」は、同市のe-sportsを使った観光(ツーリズム)施策の一環として捉えることが出来ます。 e-sportsを振興することにより、現在海南島のPRポイントである美しい自然以外にも、観光の目玉をつくろうという目的でしょう。

160億円規模のファンド組成といい、省全体での取り組みといい、業界団体ばかり作られる日本と違い、質、量ともに非常に高いレベルでのe-sports振興策です。 市場規模やe-sportsへの理解度が段違いの日本と中国を比べても仕方ないですが、それこそインバウンド、インバウンドと叫ぶならばe-sportsやゲームを活かした「ゲームツーリズム」といった取り組みなども、本来、関係各位から出てきてもいいのではないかと思います。
そういった意味では日本のe-sports市場は、まだまだ黎明期といえる状況なのかもしれません。かつて世界に冠たるゲーム大国であった日本です。ゲームを切り口にした産業振興というのは、もっと、やり方があるのでは無いでしょうか。

参考サイト:https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/06/ec59146f46f667f1.html
http://www.uschinapress.com/2019/0620/1167333.shtml

文責:土田耕平